第22章 ナイトメア
「え?」
(悪夢じゃないって……)
「あれは未来を視ている状態で、実際には寝ていないのよ
未来視をする人間を「ナイトメア」と呼ぶんだけど
ナイトメアは未来を視る時、眠る事は出来ないの
眠りにつく時、眠ったと思ったら、意識が目覚めて未来をみる
エドワードはその未来の内容が悪夢だと思ってしまったから怖がっているのよ」
「つまりはエドワード自身の認識で悪夢だと思って怖がっているってことなんだね」
そういう事らしい
「ナイトメア」は未来を視る間寝る事は出来ない
寝ていないから寝不足の状態になる
しかしまだ疑問はある
「それ、自分が望んだタイミングで視る事は出来ないの?」
「…訓練すれば出来る…私では無理よ」
「どうして?」
「私の場合は後天的に使えるようになった
もちろん、昔はそうやって出来てたんだけど、ヴィオラを生んでから視る事はなくなったわ」
「私を?」
「ええ、たぶん子供を生んだらその子に受け継がれるのよ
ヴィオラの場合はマリエレンダの血が強かったみたいだけど、エドワードは私の力を大体的に受け継いだ
エドワードならきっと、訓練しなくても出来るわ
私の遺伝で生まれた時から力を得てるもの」
「そうなんだね……
じゃあ、予知視とは何が違うの?」
「予知視は未来を視て、運命を確定させるのよ
分かりやすくいえば、未来を視たらその通りになってしまうってことね
反対に、未来視は未来を視るだけ
未来はいくつにも分かれている
その中から一番自分達の運命に近い未来を視る
まあ、行動が1つでも違ったら、自分に都合のいい未来にはもっていけないわ」
つまりはそういう事らしい
予知視は未来を確定させる
未来視は仮定されていない未来を覗き見る
これが2つの違いということだ
(…………なんかうちの一家ずるくない?『愛の魔法』に『ナイトメア』に、優秀な魔法使いと魔女2人って…)
「はぁ…私にも話してくれれば良かったのに…」
「ごめんよヴィオラ、でも昔、エルラはその力のせいで死喰い人(デスイーター)に狙われた事があってね
守るためにも、情報を知る人は少ない方がいいと思ったんだ」
「そうだったんだ……」