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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第21章 秘密の部屋



「襲わせない」とはどういうことか

その考えを読んだようにトムが言う

「僕は君を殺すつもりは無い
君はただ、生きてくれればそれでいいんだ
僕の知らない所でも、ただ生きてさえいれば」
「ふざけないでっ
だから友達を見捨てろとでも言うの?」
「ヴィオラ、バジリスクはスリザリンの継承者に従うんだ
君ならこれがどういう意味か分かるだろう?」


バジリスクはスリザリンの継承者に従う

つまりそれは、トム以外にはバジリスクを止めることは出来ない
トムを何とかしなければバジリスクはハリーを狙い続ける
ということ

だけど、目の前のこのトムは日記なのだ
ただの記憶
実体なんてないから、呪文なんて効かない

なすすべが無い

「…」

唇を噛む

悔しくて、仕方がなくて




「ヴィオラ」
「…………」
「大丈夫だから」




何が大丈夫なんだろうか?
「君は食べられないから安心して」とでも言いたいのか?

でも、トムの目からはそれは感じられなかった

パタパタ

「あ」

ハリーだ
足音が聞こえた

筋書き通り退けたのだろう

ハリーがジニーの元に座り込む

「ハリー…」

ジニーに触れる
でもジニーは動かない冷たく横たわるだけ

「さあ、ポッター
もうじき全てが完了する、あと数分でジニーは死に、記憶ではなくなる
ヴォルデモート卿が復活するのだ
再び、生きて、この世に」
「ジニー…」

その時

バシャーン!!

「「!」」

またバジリスクだ

先程の場所から戻ってきた


(確か、ここでグリフィンドールの剣が……)

キラリ

あった

古帽子の中で光り輝く剣
綺麗な装飾が施されたその刃には、「ゴドリック・グリフィンドール」と書かれている

ハリーは気付いていない
トムもだ


(今のうちにっ)


そーっと近寄る

気付かれないように静かに、近寄る

しかし

「わっ!」
「駄目だよヴィオラ」

気付かれてしまった

グリフィンドールの剣に近付かせないように、トムは抱き締めてくる
後ろからギュッと強く抱き締め、どれだけもがいても剣を取れない

「ッヴィオラを離せ!」

ハリーがそう叫ぶも、トムは離す気配はない





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