第20章 日記
(はい、まずはあの日記について聞こうと思って)
『そんなに上手くいくの?私が思う限り、彼女は中々話さないと思うよ?』
(そこであの薬の出番ですよ)
『ふむふむ、ベリタセラムか…』
ポケットに忍ばせてあった小さな小瓶を取り出す
中にあるのは、透明の綺麗な液体
たった3滴
それだけで真実を全て話させるほどの薬
でも万能ではない
まずベリタセラムは貴重だ
中々手に入りにくい
ましてや真実薬を全ての罪人に使う余裕なんてない
口の中に入れたとしても、飲み込む寸前に口の中で別の物質に変えることが出来るからだ
この事から規制されているのだが、こんなに簡単に手に入っていいのだろうか?
キャッ!キャッ!
「?」
遠くから女子生徒が騒いでいる声がする
「先生!今度個別指導付けてくださいな!」
「ははは!熱心だなMsローラ
いいぞ、この私が手取り足取り教えて差し上げよう」
「キャッ!よろしくお願いします♡」
うわー
ロックハートだ
女子に囲まれてウハウハしている
ベリタセラムをもう一人に使うとしたら絶対にロックハートだなと思った
『やっちゃえやっちゃえ☆』
(……………………)
『何?どしたの?』
(…神様は男の人ですもんね)
『……女だよ』
(………………え?)
『れっきとした女性だよ?』
(え?でも胸がな…)
ゴン!
「いぃったぁ!!」
何かに頭を殴られた
あまりの痛みに大声を出してしまう
講堂に響き渡ったので、グリフィンドールだけじゃなく他の寮の一部の生徒までもがこちらを見ている
「ひ〜、酷いよ…仏心ってものがあの人にはないのかなぁ…」
そんな事には気づかず、ただ痛みに悶えていた
確かに男性だと間違っていたのは悪かったが、この仕打ちは酷いんじゃないだろうか
「だ、大丈夫ヴィオラ?」
「あぁ、大丈夫大丈夫」
隣でネビルが心配してくれた
良い子だ
心優しい子だ
彼が周りから受ける扱いはいつも雑だが……
(まあ、ジニーから聞き出さないとなぁ)
フンス!と意気込む
ジニーをさらわせるのは阻止しなければ
もし阻止できなくても、先に分霊箱である日記を壊してしまえばいい
(それじゃ、いっちょやりますか!)