第20章 日記
じー。
皆様、いきなり「じー。」とは何事かと思うだろう
あえて説明させてもらう
実は今、ウィーズリー家の美少女、ジニー・ウィーズリーをひっそりと凝視しているのだ
決してストーカーなどではない
断じてない
「……………」
「むー」
「何をしている」
「ひっ!」
パッと後ろを振り向く
黒髪の冷たい表情
セブルス・スネイプだ
「ス、スネイプ先生!」
「何故そのように本に隠れ遠くを見つめているのかね?まさか色恋に浮かれているのではあるまいな」
(あんたが言うな!)
「そんな事はしてません!」
「……」
否定するもそれが更に疑惑を深めたようで訝しげな目をしてくる
しかしそれだけで、スネイプはそのまま去っていった
(何だったのよ……大体あの人が言えることでもないよね?リリーが今でも大好きな癖に)
ごもっとも
『まあまあ気にしないであげてよ、彼も辛い人生を歩んできたんだから』
(えぇ?神様まであの人の味方するんですか?)
頭の中で例のあの方の声がした
もう何度も繰り返していたので、すっかり慣れてしまった
神様も指摘せず、話しかけて来る
『そもそも彼は愛ゆえに闇陣営に入ったからね、それだけリリーに振り向いて欲しかったんだよ』
(……………………)
神様の言う通り
スネイプはリリーに振り向いて欲しくて、闇の魔法を極めたり、闇陣営に誘われて入った
自分が目立つような事をすれば目を向けて貰えると思ったからだ
残念ながら彼女はスネイプを愛することはなかったが、スネイプはひたすらに愛し続けている
その証拠もある
彼は闇陣営の人間は決して使えない「守護霊の魔法」を使いこなす事ができる
『報われた人生じゃない、だから綺麗事なんて語れない、彼はそういう人だ』
(………)
ちょっとしんみりする
スネイプの人生は決して報われたものではない
リリーのために生き、リリーのために死ぬのに、どうしてこんな壮絶な人生を歩まなければならないのか
しかし、それを言っても仕方がない
神様も分かっているから、話をすり替えた
『さて、ジニーちゃんに何かするんでしょう?もうすぐ連れ去られるから』