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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第19章 蜘蛛の王



「それじゃあ、蜘蛛の後を追っかけよう」
「ねぇ、本当に行くの?」
「当たり前でしょ?クィレル先生だって来てくれるんだし」

ロンはさっきからずっとこの調子だ
ずっと「行くの?行くの?」と尋ねてはぐずっている
本当に彼は蜘蛛が苦手なのだろう

「なんで蜘蛛なんだよ…チョウチョを追っかけるんじゃダメなの?」
「「……………………」」

ロンのその悲痛の叫びに、ただ黙ることしか出来なかった
だが、ひとつ確かなことは

(そんなファンシーな物語は存在しないよ……)

という事だけ






























ガサガサ

物音がする

蜘蛛達がそこら中を這いずる音

こんな暗い森に何百匹も居そうな蜘蛛が動き回っているのだから、不気味で仕方ない
ロンなんて生きてる心地がしないだろう

「うぅぅ」

哀れだ

さっきからこうして震えては呻いている

「っ」

何か言葉をかけようとした時、




『ハグリッド、お前なのか?』

「「!」」


声がした

ひどく低い声

アラゴグだ

「これは…驚いた、アクロマンチュラか」

クィレルが呟いた

彼の言う通り、アラゴグは珍しい蜘蛛で、人工的に作られたとも言われている
その凶暴さゆえに飼うのは禁じられているのだが、どうもハグリッドはそういったものを飼うのが好きらしい

「ハグリッドの友達です」
「うぅ」

健気に答えるハリーと怯えるロン
ヴィオラはこの蜘蛛達の光景が不気味すぎて声を発せない

ハリーが聞く

「あなたは、ア……アラゴグですね?」

『そうだ
ハグリッドは一度もこの地に人を寄越したことはない』

「大変なんです、学校で人が襲われて………ハグリッドが疑われてる
秘密の部屋を開けたと思われてるんです、昔みたいに」

『それは違う、ハグリッドは秘密の部屋を開けたことなどない』

ハリーの言葉を即座に否定する
アラゴグも、少なからずハグリッドには情を持っているのだろう

ハリーは聞く

「あなたがその部屋の怪物では?」

『違う、怪物はこの城で生まれた』

「あなたが怪物じゃないなら、50年前、女の子を殺したのは誰?」





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