第19章 蜘蛛の王
コーネリウスもその迷いない言葉に罪悪感を覚えたのか、眉を寄せ苦しそうな顔をする
「しかしアルバス、ハグリッドには不利な過去がある、こうなった以上連行せねばならん」
「連行?どこへ?まさかアズカバンの監獄じゃっ」
「そうするより仕方がないのだ…」
アズカバンの監獄は恐ろしい場所だ
容疑がかかっているだけで連れて行かなければならない訳では無いのに
なぜそんな事をしなければならないのか
怒りさえ湧いてくる
「来ていたのかファッジ」
そう言って入ってくる男性がいた
ブロンドの長い髪
真っ黒な服
ルシウス・マルフォイだ
その瞳には少々軽蔑のようなものが浮かんでいる
彼は小屋を見回し、「結構」と呟いた
完全にハグリッドの暮らしを馬鹿にしているのだ
(髪の毛引きちぎってやろうか……)
ちょっと恐ろしい事が頭に浮かんだ
「それで、一体わしに何の用があるのじゃ?」
「私を始め、理事全員があなたの退陣を決定した
ここに停職命令がある、12人の理事が全員署名した」
ルシウスの言葉が部屋に響く
彼は正気なのか?
ダンブルドアを退陣させれば必ずホグワーツは終わってしまう
なのに理事全員を脅し、停職命令を下すとは
本当に彼は無能な人間だと思った
「あなたが現状を把握出来ていないと感じておりましてね
このまま襲撃が続けばマグル出身者は一人もいなくなりますぞ
それがホグワーツにとってどれほど恐るべき損失か…」
「ダンブルドア先生を辞めさせてみろ、それこそマグル生まれの者はおしまいだ
この次はきっと殺しになるぞ!」
ハグリッドがすぐさまルシウスを批判するが、彼は真に受けない
言っても無意味だ
ダンブルドアがハグリッドを制し、言う
「落ち着くのじゃハグリッド
理事達が退陣を求めるならもちろんわしは退こう
しかしじゃ、良いかな?
ホグワーツでは助けを求める者には必ず、それが与えられるのじゃ」
「「!」」
間違いない
今はっきりとこちらを見た
ダンブルドアと視線が合った
透明マントを被っているのに視線が合ったことに驚く
ダンブルドアは見えているのだろうか?