第18章 君と学ぶひと時を
まあさておき、図書室ではヴィオラが待っているだろう
急がなければ
自分から誘っておいて待たせるのは申し訳ない
「おはようセドリック!」
「よぉ!セドリック」
廊下を歩き、すれ違う度に皆が自分を呼んでくれる
それに微笑んで返し、図書室へと着いた
ガチャ
扉を開ける
中に入り、奥の机へと向かう
そして
彼女はいた
ピンクブラウンの長い髪
茶色の透き通る瞳
万年筆を握っている手はとても細く、でもやせ細っているような感じではない
そのままヴィオラの方へと進む
「やあ、ヴィオラ、待たせたかな?」
「ううん、大丈夫
今日はありがとう、今は大変なのに勉強教えてくれて」
ヴィオラは微笑んでそう言った
「僕がそうしたかったから大丈夫だよ」
そのまま教科書を開き、ペンを取り出す
「それで、どこが分からないんだっけ?」
「ここだよ、この仕組みが分からなくて…」
それからしばらく、勉強を続けた
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「本当に、君の魔法薬学の知識はすごいね、僕達4年生が苦労しているところをこんなに簡単に教えてくれるなんて」
「ふふ、大袈裟だよ、家に帰るといつもお母さんが教えてくれるの」
「それでも吸収してるのは君だろ?自信を持てばいいよ」
「ありがとう」
セドリックがそう褒めると、ヴィオラは照れるように微笑む
実際、彼女の知識量はすごい
魔法薬学を予習していても、ここまで理解し教える事が出来る人なんてそうそういないだろう
セドリックは言う
「君のお母さんは薬屋だっけ?」
「うん、依頼を受けて、薬を作って、届けに行くの」
「立派な仕事だね」
「セドリックのお父さんもでしょ?魔法省の生物課にいるんだよね?」
「父さんの事は誇りに思ってるよ、魔法省で働く姿を見て本当に誇りに思ってる」
「ふふ、大好きなのね」
その言葉を否定しなかった
父の事は好きだ
エイモスは魔法省で生き生きと仕事をしている
それに、こんな自分を誇りだと言ってくれるのだ
自分が父を誇るように、父もセドリックの事を誇っている