第4章 受け継がれる愛の魔法
(な、なるほど……)
『ほらほら、やってみて、早くしないと助からないよ?』
(は、はい!分かりました!)
神様に心の中で急かされ、急いで黒犬のそばに寄り添う
(ど、どうすりゃいいの?キスなんて麗乃の時にもやった事ないし、自分からなんてっ)
戸惑っていると、神様が話してくる
『ほっぺでもおでこでもいいから、チュッてやってごらん?』
(うう〜)
本当にどこでもいいのか、
わがままを言っている場合ではない
背に腹はかえられぬ!と意気込み黒犬の額に唇を近づけた
言われたとおり、祈りながら口付けをする
「どうか、この子の傷を、足を完全な状態に、治してください」
チュッ
リップ音が鳴る
唇を離すと、黒犬は驚いたように目を開け、こちらを見た
「ウゥ?」
その途端
「わあ!」
どこからともなく、ピンク色に輝く蝶が何匹も現れ、ヴィオラと黒犬の周りを円を描くように包んでいく
ヒラヒラヒラ
美しく周りを舞って、ピンクや紫色に光り、煌めくりん粉を散らばらせていく
「ウゥ、ウウウっ」
黒犬が蝶を目で追う
すると蝶はりん粉を黒犬の傷に降らしていった
瞬間、
ゆったりと、本当にゆっくりと、枝が傷から抜けていく
「治っていってる!!」
黒犬の顔を見るも、痛そうな表情はしていない
枝が完全に抜け、傷があらわになる
蝶は花の香りに誘われるかのように傷に群がり、先程よりも濃い色のりん粉を振りかけた
スゥーーー
蝶は粉になってほろほろと崩れ、消えていった
「「「………………」」」
いつまでそうしていただろうか
あまりにも美しい蝶に呆気に取られ、その場にいる誰も声を発することが出来なかった
『ほら?言った通りでしょ?』
「…………はっ!」
神様に話しかけられ我を取り戻す
続いて神様に答えた
(ありがとうございます!!もうなんて言ったらいいか、神よ!!一生あなたについて行きます!!)
『え、ちょ、ちょっと、君だんだんエルラやダニーに似てきてない?』
(……えへ)
『えへじゃなくて……、まあいいや、それじゃあ私はもういくね、ばいばーい』
(はい!ありがとうございました!!)
心底神様に感謝した
黒犬の怪我を治すことが出来た
神様の力がなければ途方に暮れていただろう
黒犬の足を見る