第17章 ポリジュース薬にはご注意を
「ヴィ、オラ?」
ハリーが名前を呼んできた
ちょうど彼の反対側にいたので見えていなかったのだ
回り込んで成功したかを見る
「おお、ゴイルだぁ」
やはり、そこにはゴイルに変身したハリーがいた
「君も完全にパンジー・パーキンソンになってる」
ハリーがヴィオラをじっくり見て言う
なんだか不思議な感じだ
ハリーの顔を知っているのに、目の前にいるのはハリーなのに、ゴイルとは
「ハ、ハリー?ヴィオラ?」
「ロン?」
ガチャリとトイレのドアが開き、中から人が出てくる
クラッブに変身したロンだ
こちらも見事にクラッブと化っしている
「すごい…ちゃんとクラッブになってる」
「君達も、ゴイルとパーキンソンだね」
「でも、声は自分の声のままだよ?」
「だったら声真似しなきゃだね」
このままの声では変身が見破られないにしろ怪しまれてしまう
もしもスネイプなどに出くわせば一巻の終わりだ
「あ〜」などと言って声を変える
パーキンソンの声は真似しやすいので簡単だった
「ハーマイオニーは?」
その言葉に全員がはっとする
何故かハーマイオニーだけがトイレから出てきていない
やっぱりこうなってしまったか…
話していると、彼女がトイレの中から言った
「私、行けそうにないわ!3人だけで行って!」
「ハーマイオニー大丈夫?」
「いいから行って!時間が無くなっちゃう!」
ハリーが声をかけるもハーマイオニーは「大丈夫」だと言うばかり
やっぱり猫に変身してしまったのだ
(解薬剤が効けばいいんだけど……)
ポリジュース薬を飲む前
ハーマイオニーが使うコップにだけ、薬を仕込んでおいたのだ
解薬剤は何にでも溶けやすいので、コップの内側に軽く塗るだけでいい
そうすれば、薬の効果が早く終わるようになる
(でもポリジュース薬に効くなんて聞いたことないからな…
どうか効きますようにっ)
ハーマイオニーの言う通り、3人だけでスリザリン寮に向かった
「スリザリンの談話室はこっちだ」
「よーし」
廊下を早歩きで進む
もう夜なので、灯りがない場所はとても暗い
壁にかけられている火だけが唯一の光源だった