第4章 受け継がれる愛の魔法
「んー?後ろ足がどうしたの?」
つられてヴィオラも後ろ足を見る
すると、太い木の枝が足に刺さっていた
木の枝は先が尖っており貫通してしまっている
「うおおおおぉ!!コレはやばい!!待ってて!今すぐブローとご飯持ってくるからね!!」
「グウゥ!?」
そう言ってかけ出す
後ろからなにやら黒犬が焦ったように吠えてくるが気にせず走る
(ちょっと言葉遣い荒くなっちゃった、これもママの影響かっ)
黒犬の酷い怪我に焦りながらも、「母の力は凄い」と感心するヴィオラであった
「ブロオオオオオオオオ!!」
「ど、どうなさったのですか!?今旦那様のようなとんでもない駆け込み方をしてきましたがっ?!」
「そ、そこは気にしないで、あのね、今すぐご飯用意して!肉と芋と野菜と…」
「え?え?お嬢様どういう……」
「あ、あと救急箱持ってかないと!ブロー急いで!酷い怪我人…じゃなくて怪我犬がいるの!!」
「か、かしこましましたっ」
そう言って何とも下手くそな私の説明をブローは理解して急いでくれる
既にご飯は出来ていたようで、ブローは慌ててそれを箱の中に詰め込み、包んでくれた
「それでお嬢様、怪我人……ではなくて怪我犬はどこに!?」
「こっちこっち!」
手を繋いで全速力で走る
とはいっても5歳の子供の全力なんて、たかが知れてるし傍から見ると「わぁー、走ってるなぁー」と言うくらい遅かった
「はあっはぁっ」
(もっと、体力つけときゃ良かったぁ!!)
体力のないことを後悔して精一杯走る
すると先程の黒犬がおり、こちらを見て鳴いた
「グワゥ!ワゥ!!」
まるで近づくなとでも言うように、黒犬は酷い状態の足を無理に動かしてここから逃げようとする
「待って!逃げないでっ!大丈夫だから!!」
そう叫ぶと黒犬はビクッとして動きを止めた
ヴィオラは急いでブローに傷を見てもらおうとする
「ブロー!この子の後ろ足!」
「お、お嬢様、この方は……」
「お願いブロー!木の枝が刺さってるの!」
「っ……」
ブローは何やら黒犬にチラチラと視線を送っている
すると黒犬は「ウウゥ」と少し優しそうに唸った
ブローはそれで何かを察したのか頷き、治療を始めた
「おや、これはっ……」
「どう?平気そう?」