第4章 受け継がれる愛の魔法
だがヴィオラと祖父ハンネスにかかれば数時間かけて回ることが出来る
(まあ、遠い距離にある動物たちの所へは『姿現わし』を使ったんだけどね)
『姿現わし』とは遠くに移動出来る高度な魔法だ
これさえ使えれば動物園はあっという間
もはやチート級の魔法である
ハンネスはこれを使ってくれた
人に見られないよう気を付けなければならなかったが……
あっという間に夕方になった
動物園を全制覇し、スタンプラリーも全て貯めたので、職員の人からコアラとカンガルーが描かれたマグカップをもらった
車に乗り込み家へと直行する
その間も、ハンネスは話を聞かせてくれる
優しい祖父だ
(神様にお願いしてここに生まれてきて良かった、大好きな家族がいて、皆と楽しく暮らせる、本当に私は幸せ者だなぁ)
「おかえりなさいませお嬢様、動物園は楽しかったですか?」
「うん、コアラが可愛かったよ〜!そうだ!マグカップ貰ったの、5つあるからブローにもあげる!」
マグカップを渡すとプルプル震えだし、
「おおお!なんとも、光栄でございますお嬢様ああ」
「な、泣かないで!」
突然泣き出した
(なんでなんで!?)
理由が分からない
マグカップがそんなに嬉しかったのだろうか
と、そこで思い出す
(あ、そういえば原作でもドビーがハリーに靴下をもらって泣いてたよね)
屋敷しもべについての事を思い出した
屋敷しもべには人権などないのだ
彼らはただご主人様に仕えるだけの生き物で、
どれだけ魔法が一流でも、仕事ぶりが優秀でも、屋敷しもべには人間と同じような扱いを受ける権利はない
だから、屋敷しもべの妖精達にとって人間と同じように接せられるというのはとても嬉しいことで泣いてしまうくらい感動してしまう
「………………」
そう思うと、なんだか悲しくなる
「あのねブロー」
「ズビッ、なんですか?お嬢様」
「私はブローの事大好きだよ、一緒にいて楽しいし、お母さんの代わりに作るご飯も美味しいし、ブローは私の家族なんだよ、だからもう泣かないで」
「ぉぉおおおおお嬢様あぁぁぁ!!」
「ぇぇぇぇ、なぜ泣く!?」
逆効果だったようでもっと泣き出してしまった
「ブローめもお嬢様が大好きでございます!ええもう鼻血出すほど好きでございます!!」
「んもう、あははは!!」
なんだか笑えてきてしまった