第4章 受け継がれる愛の魔法
「「それじゃぁ行ってらっしゃい!!」」
「行ってらっしゃいませお嬢様!」
「行ってきまーす!!」
家族に見送られて、車は出発した
ハンネスが車を走らせる
ハンドルを握り、道を確認してからヴィオラに話しかけた
「それじゃあヴィオラ、今度は確か海の魔法生物の話だったな」
「うん!海の冒険の話聞かせて!!」
「ははは!ではでは」
「おおー!(パチパチパチ)」
「あれは涼しい秋の日だ、おじいちゃんはグアムに行っていてな…………」
ハンネスが髭を触りながら冒険譚を話し出す
彼は昔世界中を旅しており、魔法生物や古代文字などをよく知っている
ヴィオラもその知識を教えてもらったことがあり、若い頃の話を頻繁に聞かせてくれるのだ
これが結構楽しみで、祖父に会うのは毎回プレゼントを貰うようにワクワクする思いだった
あれよあれよという間に動物園に着いた
「ふふぇー!面白かったー!ねぇねぇ、他のお話聞かせて!」
「ヴィオラは本当に冒険の話が好きだなぁ」
「だっておじいちゃんのお話面白いもん!」
「そりゃありがたい!でも、もうおしまいだよ、ほら、ヴィオラの好きな動物達が待ってる」
そう言われ、窓の外を覗く
するとそこには「シドニー第一動物園」と書かれた看板があった
「もう着いたんだ!」
たくさんの人が来ており、とても賑わっている
ちなみにヴィオラが住んでいるのはオーストラリアで、自然いっぱいの豊かな街で暮らしている
困ったことは特にないし、何より前世から大好きだった動物がここには沢山いるのである意味天国だった
「ねぇねぇおじいちゃん!私コアラ抱っこしてみたい!」
「おお、コアラかぁ、ヴィオラはコアラが大好きなのかい?」
「だって可愛いから!」
「はは!それじゃあ入ろうか」
「はーい」
車から降り、動物園に入る
手を繋ぎながら歩いて、たくさんの動物を見て回った
もちろんコアラも抱っこした
「おじいちゃん、見て、コアラ寝ちゃった」
「おや、ははは、ヴィオラの腕の中が気持ちよくて寝ちゃったんだね」
「すごく可愛いね〜、でも静かにしてあげないとね」
「そうだな」
時間も忘れて動物園を隅から隅まで見て回った
「シドニー第一動物園」はオーストラリアの中でも大きな動物園であり、全て回るのに一日もかかる