第13章 純血の女神
『純血の女神〜第五章〜「不思議な力」』
それから何年も経ち、女の子は美しい女性に成長しました
あの日以来、三人の元を離れ旅をしながら男性を探していますが、一向に見つかりません
男性を想って、何日も何日もため息をつきました
いつもと変わらず旅をしている時、ある村に辿り着きました
自然豊かなその村には、たくさんの人々がいました
女の子は、その村に数日の間お世話になりました
楽しく暮らし、皆が優しくしてくれる
女の子は、数年ぶりに心から笑えた気がしました
ある日、村の者が大怪我を負いました
死の間際に、女の子は立ち会いました
女の子はその者を哀れに思い、不思議な力で治してあげました
傷一つ残らず、至って健康な状態に戻れたので村の者達は彼女を「神」と崇めました
ここにいて欲しいと頼まれたので、女の子は聞き入れ、留まることにしました
彼女の力は村にたくさんの豊穣と癒しを与えました
皆が、彼女を敬い、尊敬していました
『純血の女神〜第六章〜「旅立ちの刻」』
女の子がそこで暮らして数年経ちました
やはり男性を忘れられてはいませんでしたが、村で楽しく暮らしました
ある日、その村にたくさんの人がやって来ました
それは、「魔法を知らない者達」でした
彼等は彼女の不思議な力を危険視していました
その力によって自分達がどうなるか分からない、もしかしたら殺されるかもしれない、彼等はそのことを危惧し、恐れていました
「魔法を知らない者達」は、周りに何度も訴えました
やがてその話は彼女の耳にも伝わりました
女の子は深い悲しみに落とされました
これまで人の為に力を使おうと思っていたのに、こんな風に自分が怪物扱いされるだなんて思っていなかったからです
そして、彼女はこれ以上彼等を怖がらせないよう、大人しくこの村を去る事を決めました
村の者達は、それに涙しました
『純血の女神〜第七章〜「1000年後の君に願う」』
女の子は去る直前、一人の男に自分の血を分け与えました
男は血を飲むと、彼女と同じように不思議な力を扱えるようになりました