第13章 純血の女神
『純血の女神〜第二章〜「蛇に出会う」』
ある雪の日のこと
女の子はやはり木の幹の元にいました
雪は降り積もり、気温は低く下がり続けています
まだ生まれたばかりの赤ん坊である女の子は、自分で動くことは出来ません
衰弱し、明日生きられるかも分からない状態になっていました
ですがそんな時、ある男性がやって来ました
男性は女の子を見つけ、腕に抱きました
女の子の体はひどく冷えており、男性は自分の着ていたマントで優しくくるみました
男性は女の子を哀れに思い、自身の住む家で育ててやることにしました
『純血の女神〜第三章〜「女神の家族」』
男性は女の子を家に連れ帰り、愛情を込めて育てました
住む部屋や着る服、温かくて美味しい食べ物を与えてあげました
男性は独り身だったので、女の子を家族のように思いました
そんなある日のこと
彼の家に、三人の男女が訪れました
三人は男性の友人で、とても仲良くしていました
女の子も三人に馴染んでいき、いつしか、この五人でいる事が当たり前になっていました
女の子は、それが幸せだと感じていました
『純血の女神〜第四章〜「蛇との別れ」』
ある日の雪のこと
男性は何やら、三人と喧嘩をしていました
女の子は物陰からそれを聞いていました
男性がひどく悲しそうにしているのを見て、胸が痛みました
ですが彼がこんなに振り乱したのを見たことが無いため、女の子は何言えずただ黙って見ていました
やがて男性は魔法で荷物を用意し、外へと出て行ってしまいました
女の子は慌てて後を追いました
裸足で外へ出て、振り積もった冷たい雪を踏みながら
女の子は男性を追いかけました
しばらく走り、やっと彼を見つけました
男性は魔法でどこかに転移するつもりでした
女の子はそれを感じとり、引き止めました
何度も待ってと叫び、名前を呼び
男性はそれに応えるようにこちらを振り向きました
その目は、悲しそうでした
走ってその手を取ろうとするも
男性は、雪の中に消えてしまいました
女の子は、泣き崩れました