第12章 賢者の石
「さぁさぁ急げ、遅れるぞ、もうすぐ汽車が出る!みんな急げよ!」
ハグリッドが生徒達を促すような声が聞こえる
今日から夏休みだ
家に帰って、皆ゆっくりと過ごす
ヴィオラは、一年ぶりの家族との再会だ
(前は外出禁止令出てたもんね…絶対お父さん達も学校で何があったか知ってるよ……)
父と母の怒る顔がすぐさま浮かんでくる
ブルブルと震えが止まらないが、エドワードに会えると思えばへっちゃらだった
「ハグリッド!」
「よぉ、ヴィオラ!」
彼の元に急いでかけていく
人混みをかき分けてやっと辿り着き、ハグリッドをぎゅっと抱きしめた
「うぉぉ!」
ハグリッドが驚いた声を上げる
それでも、ぎゅっと抱き締め返してくれた
(むふふ〜、一回ハグリッドに抱きついてみたかったんだよね〜!あ、なんてもふもふ…)
全国のハグリッドファンならこの気持ちが分かるだろう
「楽しんでこいよ、夏休み」
「うん!ハグリッドもね!」
「もちろんさ!俺はノーバートに逢いに行くからな」
「あ〜!やっぱりまだママ気分なんだね〜!」
「当たりめぇだ、俺にはママとして見に行く権利ってもんがある」
二人であははと笑い合う
この時間が少しの間無くなると思ったら、寂しくなった
しかし、それを振り切って用を言い渡す
「あっ」
「ん?なんだどうした?」
「あのね、ちょっと…」
耳を貸してもらう
あまり公には話さない方がいい内容だったと思い出したので小声で言った
「クィレル先生に、この色紙渡して欲しいの」
「色紙?」
「これ」
ローブに隠しておいた色紙を出す
何枚もの色紙がそこにはあり、たくさんのメッセージや、可愛らしい絵が描かれていた
どれも全て、クィレル宛だ
「お前さん、いつ用意しとったんじゃ」
「えへへ、終業式までの短い間にハリー達に協力してもらったの」
終業式まであと5日
そのギリギリのところでヴィオラは目覚めた
色紙は元々用意していたが、目覚めるのが案外遅かったので白紙のまんまだった
思い悩んでいたところを、ハリーやロンが現れ、手伝うと言ってくれたのだ
全てクィレルへのメッセージ
ジョージやフレッド、パーシーにも協力してもらい集める事が出来た