第12章 賢者の石
話の続きを聞く
「石は砕いてしもうた、ニコラスとわしで話し合ってな、こうするのが一番だと決めたのじゃ」
「それじゃあ…ニコラスは死んでしまうんですか?」
「…命の水は、死の備えをするくらいは蓄えがある
その後に死ぬことになろうの」
ダンブルドアは重苦しそうに言う
旧友が死ぬ事になるのだ
いずれ誰もが迎える運命とはいえ、辛いだろう
この話はあまりしない方がいいと思い『賢者の石』について話す
「……僕は、どうやって石を?鏡を見てたら急に手の中に…」
「ああ、それはな、石を得られるのはあの石を捜し求め見つけても使おうとは思わない、そういう者だけが手に入れることが出来るのじゃ
どうじゃ?中々思いつかんじゃろう
ここだけの話じゃが、我ながら良いアイデアじゃ」
ダンブルドアはそう言って茶化すような笑みを浮かべた
確かに、中々いい案だ
ハリーもつられて笑った
(そうだ…石が無くなったらヴォルデモートは)
「石がなければ、ヴォルデモートは二度と戻っては来ないんですね?」
どこか安心して言った
だがダンブルドアの顔は至って良い表情ではなかった
「……残念じゃが、戻ってくる方法はまだある」
少し間を開けて告げられる
だとしたら、まだ安心は出来ない
今回のように、ヴォルデモートがまた復活しようと事件を起こす可能性がある
「………………」
チラッと隣で眠るヴィオラを見た
彼女はまだ目覚めない
ダンブルドアに聞いた
「ダンブルドア先生、ヴィオラはどうなってるんですか?
あの時、彼女から光が溢れて、それでクィレル先生からヴォルデモートが煙になって出て来て……」
「ああ、彼女はただ眠っているだけじゃ、君と同じで怪我もない
ただ、目覚める気配がまだないのじゃ、こればかりはマダム・ポンフリーでも分からん」
「…………」
しばらく黙る
彼女がいつ目覚めるか分からない
その言葉は、どんな魔法よりもハリーの心に深く突き刺さった
「………ハリー、10年前、なぜヴォルデモートが君に手を出せなかったか知っているかね?」
「?」
突然、ダンブルドアはこんなことを言い始めた
その質問の答えが分からず、ハリーはただ首を横に振る
ダンブルドアは一呼吸して