第12章 賢者の石
膝から崩れ落ち、床に倒れてしまう
倦怠感と痛みと眠気がやってきた
「ふ………うっ」
必死に起きようとする
眠ってはいけない
まだどうなっているか分からない以上、眠れば危険なのだ
(痛い…身体中筋肉痛でズキズキする、なのにすごく眠いし………本当に不便だなぁ)
代償を払わなければならない不便な魔法
自分を犠牲にすることは構わない
それで大事なものを守れるのなら喜んで差し出そう
でも、ここぞという時にいつもこうなってしまうから、それが辛い
シュウウウウ
クィレルの身体から黒い霧のようなものが出る
ヴォルデモートが離れた
《ああああああああぁぁぁ!!!》
「!」
ヴォルデモートが煙の状態で叫んでいる
その叫びは、何かに苦しんでいるようで
とても聞いていて良い気分になるものじゃなかった
霧はそのままハリーの方へと向かう
「ハ…リー」
何とか口を動かし声を出す
でも、身体が動かないのでどうしようもない
「ぅわあああ!!」
「ッ!」
煙はハリーに一直線に突進して、すり抜けて行ってしまった
ハリーはバタンとその場に倒れ、気を失っている
「っく、っそ」
もう、自分も限界だ
ゆったりと瞼が降りてくる
その眠気に抗うことは出来ない
ハリーの気絶している姿を最後に
彼女の意識は途切れた
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