第12章 賢者の石
「……………………」
このままいけば、崇拝している闇の帝王に仕えることは出来るが、自分を尊敬していると言ってくれた彼女を裏切ることになる
信じてくれている無垢な教え子を切り捨てることになるのだ
「っ」
真実を知れば、彼女はどう思うだろうか
クィレルにとって、ヴィオラの存在は大きなものになっていた
自分でも気付かないうちに、大事な生徒になっていたのだ
彼はまだ迷っている
最後の最後で、ヴィオラにあんな事を言われたので、迷いが大きくなってしまった
でも、当の本人はそれに気付かない
気付こうとしなかった
気付いてしまえば、きっと深く後悔することになるから
道を進む
迷いを振り切るように
自分はヴォルデモートの下僕だと自分に言い聞かせるように
早く、大きく音を立てて歩く
心の葛藤に気付かずに
ただ目の前に広がる暗い道を突き進んだ