第11章 プレゼントは死の秘宝
分からないことが多すぎるのでヴィオラは彼に聞く
「この指輪がなんなのか知っているの?」
そう問うと、フィレンツェは一呼吸して「ああ、知っている」と言った
「これは大事なものだ、君に話すことは出来ないが肌身離さず持っていなさい
『幸福の記憶』はきっと君を守る
それが例え闇の魔術からでも、君を救う力となる
助けが必要な時、この指輪に願えば、必ず応えてくれるだろう」
「……あなたは一体何を知っているの?」
「私は多くは知らない、知っていても話すことは出来ない、今の君には明かせないんだ
でも、時が来たら教えてあげよう
金のスニッチも、君を知っているからゴーント家に案内した」
「どうしても、どうしても教えてくれないの?」
「ああ、こればかりはすまないが……」
「…………分かった、無理を言ってごめんなさい、それと助けてくれてありがとう」
これ以上聞いても彼は答えない
いや、答えられないだろう
そう思い、素直にお礼を言う
すると、フィレンツェが嬉しそうに微笑んだのが分かった
フィレンツェはしゃがんでいた身体を起こし、立ってハリーとヴィオラの2人に言う
「ハリー・ポッター、ヴィオラ・マリエレンダ、ここでお別れだ
もう大丈夫、幸運を」
そう言って、フィレンツェはひづめの音を立てて森の奥に去っていった
「「……………………」」
ただただその方向を見つめる
ハリーもヴィオラも、フィレンツェが去っていった方向を見つめて一言も話さなかった
だが、すぐにその静寂は打ち消される
「ヴィオラ、大丈夫?」
ハグリッド達がこちらに降りてきた
ハーマイオニーが心配そうに言う
「平気平気、そんなに暗い顔しなくても大丈夫だよ」
少し笑って茶化すように言う
しかし彼女のその表情は緩むことは無い
「おい、お前さん何があった?クィディッチの時も似たような事があったろう」
「えーっと…」
「たぶんさっきのやつのせいだ、フィレンツェが現れる前に黒い何かが僕達に近付いてきたんだ」
どう答えようか悩んでいると、ハリーがフォローを入れてくれる
真実はそうでは無いが、彼の気遣いに感謝した
これで追求を逃れることが出来る