第11章 プレゼントは死の秘宝
「森の中は静寂に包まれ、聞こえるのは自分の足音だけ……
だがどこからか遠吠えが突然聞こえる
そちらを見ると、何者かがいた
そいつは月に照らされており、血塗れの牙が剥き出しになっているのが見える
ああ、なんてことだ、奴は狼男
狼男はゆっくりとこちらを振り向き、その牙で不敵に笑い……」
「わああああ!!」
「ぷッ!ふふ……」
「お、脅かすなヴィオラ!!」
「あははは!!」
悪戯心に火がつき、マルフォイをからかってみた
案の定、彼はとてつもなく怯える
その様子をハリーは面白そうに見ている
原因であるヴィオラは雰囲気をぶち壊すかのように大笑いした
「笑い事じゃないぞっ!」
「ご、ごめんってドラコ……ふふ」
謝るも笑いながらなのでマルフォイはどこか不服そうだ
また可愛く思えてくる
その時だ
しばらく笑っていると、ファングが唸り出す
「ファング、どうした?」
ハリーが聞くも、ファングはずっと唸りながらどこかを見ている
何かが動くのが見えた
カサカサと黒いものがこちらに近付いてくる
「ぅゎあああああ!!助けてー!!」
(来た)
ヴォルデモートだ
マルフォイは怖がって逃げてしまった
ファングもどこかへと走り去っていく
残ったのはハリーとヴィオラだけ
「ハリー」
彼の名前を呼ぶも、動揺して呼吸が落ち着いていない
この間のこともありヴィオラ自身も怖いが、結末を知っているのでどこか落ち着いている
何かはそのままこちらへと来る
ゾワッ
「っ!」
(何かヤバい……)
悪い予感がする
いてもたってもいられずすぐさま杖を取りだし、ハリーに近づくヴォルデモートに呪文を放った
「ステューピファイ!(麻痺せよ)」
スッ
(え!?)
間違いなく当たったはずなのに、ヴォルデモートは失神するどころか動きが鈍る気配さえない
(なんで!?不完全体だから!?)
呪文が効かない
ヴォルデモートはそのままハリーに近付く
ハリーは逃げるもコケてしまい触れるか触れないか寸前のところだ
(ダメ……やめて……)
『ハリーに近付かないで!!』
パァン!!
「!?」