第11章 プレゼントは死の秘宝
原っぱの方へと走り続ける
追いつかれないように、息を切らしながらも全力で
「はあっ……はっ、はあっ」
もう体力がない
足も動かすことさえ難しい
「も、う!はあっ……これ、いつまで続くの!」
やけくそになってくる
死に直面しているのに、その実感が湧かなくて
まるでゾンビ映画に入ったような気になっているだけ
だがここは魔法の世界だ
「わ!」
ズシャアア
「うぅ……痛……」
足を踏み外してしまった
走っている場所がちょうど小さな崖のようになっており、それに気づかず滑り落ちた
「ッ!」
立とうとして足を動かすも、右足を鋭い痛みが襲う
どうやら、捻挫してしまったようだ
足首が青く腫れ上がってきている
(まずい……これじゃ)
亡者達が追い付いてきた
何とか逃げようと右足を引きずりながら歩く
だがそれも虚しく、あっという間に囲まれる寸前だ
「ああ、くっそ」
もう駄目だと思った瞬間
『アレスト・モメンタム(動きよ、止まれ)』
ピタリ
「!」
突然、時が止まったかのように彼らは動かなくなった
さっきまで襲われそうになったのに、今はただ固まっているだけ
一体どうしたのかと疑問に思っていると
「Msマリエレンダ、吾輩に掴まれ」
「え?」
後ろを振り返る
黒い髪に、鋭い瞳
セブルス・スネイプ教授が、そこにいた
「スネイプ先生?!なんで……」
「説明している時間はない、君の処遇についても後で話すっ
早くしないかこの馬鹿者!」
「は、はい」
言われた通りおずおずと腕に掴まる
「行くぞ」
そう言ってスネイプは瞬く間に「姿現し」を使った
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「っ!」
「一体何をしている?」
「はっ!」
目を強く瞑っていると、スネイプがどこか小馬鹿にしたように言ってきた
だが今はそれにむかつくことは無い
彼の声により、目を勢いよく開く
(こ、ここホグワーツだ!良かった、戻ってこれたんだ!!)
目を開けるとそこはいつも通りのホグワーツ
スネイプがいるのにも関わらずその場に座り込んでしまった
学校に戻って来れたことに心底安心したのだ