第11章 プレゼントは死の秘宝
中から黒い指輪がでてきた
大きなひし形の黒いダイヤに、太めの作りの金のリング
あまりにもこの廃墟に不似合いなその指輪は、黒光りしていた
よく見ると、指輪の中に三角の目の様な文様があった
(なにこれ?変な指輪……しかもどこかで見た事あるなあ)
原作で見たことがあるような気がして必死に思い出そうとする
だがいくら考えても頭から引っ張り出すことが出来ない
結局分からないままだ
試しに左手の薬指にはめてみる
指輪はピッタリと彼女の指にはまった
が、そこで異変が起きる
「ゔっ……」
(なにこれ……頭がっ)
突然頭痛がした
鈍い痛みが頭の中でガンガンと暴れる
(い、たいっ…)
『ヴィー、はめてみて』
声がした
知らない光景が頭に流れてくる
(誰?)
『え?でも、お父さんのなんでしょ?』
『大丈夫だよ、君の為に持ってきたから、ほら』
目の前の少年は指輪を差し出す
少女はおずおずと手を出し、少年が左手の薬指にはめた
『うん、よく似合ってる』
『っ……ありがとう』
少女は照れながらそう言った
少年は満足そうに優しく微笑む
とても幸せそうだった
(え?)
「ホゥー!」
「ふがっ!」
その光景をそのまま見ていると、マロンが突然顔にぶつかってきた
「いったぁい……何するのマロン!」
「ホゥー!ホゥホー!!」
マロンは何やらとても慌てていた
普段は元気すぎる彼女だが、今回はそんな類のものではなかった
キュインキュイン!!
キュイイイン!
「え?なに?」
またスニッチが大きく音を立てる
今度は機械仕掛けのように回りながら一際大きな音
(今度は何なのよ……っていうか、早く帰らないと)
しかしその瞬間
ゾワッ!!
悪寒がした
強烈な、死を運んできそうな匂いもする
「ゔっ……何この匂い」
腐臭がする
鼻をつく強いこの匂いは、部屋の奥からしてくる
(これ、絶対にやばいっ)
何とかして帰ろうと思った時、
『ヴィオラ、ヴィオラ!』
例の、神様の声がした