第11章 プレゼントは死の秘宝
じゃあなんだ?
スニッチが遊んで欲しいと思っているわけはない
もしかしたら可能性はあるが、スニッチは魔法で作られた試合用の玉だ
感情があるなんてことが有り得るのか?
「ホゥー!」
「え?マロン!?ふがっ!」
突然、フクロウの声が鳴った
その声の方を見るとマロンが彼女目掛けて突進し、見事顔に直撃した
「うぅ〜」
痛みに悶えていると、マロンがまた鳴き出す
「ポ〜!」
「うぇ?何?なんでここにいるの?フクロウ小屋は?」
「…………ホ!」
「あなたまさか……脱走したの!?」
「ホーホーホー!」
「ほほほじゃない!」
なんと、マロンはわざわざフクロウ小屋から脱走してきた
一体フクロウがどうやったら出る事が出来るのかは分からないが、そんなことを気にしている場合ではない
キュインキュイン
「…………」
スニッチがまたヴィオラに擦り寄る
遊んで欲しいというか、ついてきて欲しいという意味に感じた
「……ねえ、もし言葉が分かるなら……ついてきて欲しいなら右に、遊んで欲しいなら左に回って」
キュインキュイン
キュイイン
「!」
右に回った
つまりは、ついてきて欲しいということだ
スニッチがそれほどまでに連れて行きたい場所なんて検討もつかない
しかしついて行かなければスニッチは捕まえられないし、スニッチ自身も捕まる気なんてさらさらないだろう
仕方なくついて行くことにした
「分かった、それじゃあもう少しゆっくり飛んで?この箒じゃ追いつけないよ」
微笑んでスニッチに言うと、まるで相槌を打つかのようにキュインと鳴った
「マロン、一緒に来てくれる?」
「ホー!!」
彼女は元気よく鳴いてくれた
(ふぅ、それじゃあ行こうかな)
姿勢を正し、学校の外へ出る準備を整える
許可がないのでバレたら絶対に大目玉だが、バレなければいい
だが一応心の準備はしておこう
「よし、いいよ、案内して?」
キュイン
スニッチが音を鳴らす
どこか西の方へと飛んで行く
先程よりゆっくり飛んでくれた
「……行こっか」
スニッチが行く方向をしばらく見つめる
そしてマロンと一緒について行った