第11章 プレゼントは死の秘宝
手のひらにぽんと置き眺めていると、スニッチが薄い羽を広げる
今にも折れそうなんじゃないかというくらい羽は小さく薄く、その分美しく見える
キュイイン
「わっ、ふふ、くすぐったい」
スニッチは空に飛ぶと、ヴィオラへと近づき頬に擦り寄る
柔らかい羽が顔をくすぐり笑みが溢れてくる
それはまるでスニッチが懐いているような光景だった
キュン
キュン
「あれ?どこに行くの?」
スニッチが急に飛び出した
さっきまでヴィオラに擦り寄っていたのに突然高く浮き、天幕の外へ出ようとする
「へ?だ、ダメダメ!戻ってきて!!」
ヴィオラの制止の声も虚しく、スニッチは天幕を出て飛んでいってしまった
(ああああ、やばい!絶対怒られる!!)
「お借りします!」
慌てながらも天幕にあった古い箒を手に取り、またがって空を飛んだ
そのまま天幕を出る
(早く見つけて戻さないと!)
フィールドを隅から隅まで飛び回る
下から上まで満遍なく探したが、金のスニッチはどこにもいない
「どうしよう……このまま見つからなかったら……」
その先が簡単に想像でき、顔が真っ青になるのを感じた
口にするのも恐ろしい罰が待っているに違いない
「すす、スニッチー!!どこー!?」
とその時、
キュインキュイン
「あっ!」
ヴィオラの願いに応えてくれたのか、スニッチが隣に現れた
すかさず、手を伸ばし取ろうとする
が、
スカッ
「ええー!?」
スニッチは華麗な動きでかわしてしまった
(くそぅ、さすがは金のスニッチ、何度も試合に出てシーカーを困らせただけあるねっ)
何故かメラメラと炎が燃える
「絶対捕まえてやるもん!!」
趣旨が変わってきてはいるがそこは皆さん放っておきましょう
だが、そんなヴィオラの対抗心を無視し、スニッチはフィールドを出て学校の敷地を出ようとしている
慌てて追いかけるも、やはりこの古い箒ではスピードも遅い
だいぶ差がつき、「もう駄目だ」とうなだれた時、
キュイン
スニッチがまた現れた
「?」
何かおかしい
ヴィオラが止まればスニッチは彼女の隣に来て、彼女が動けばまたどこかへと飛んで行く
(どういうこと?遊んで欲しいの?)
結論へ至るがそれは違うと思った