第10章 活躍と不穏のクィディッチ
家族を大切には思うが、未だに愛というものが分からなかった
でも、やるしか無かった
愛の魔法に呪文は存在しない
だから、言葉を唱える
『お願い、ハリーへの魔法を解いて』
静かに呟く
すると、ハリーの箒が淡いピンク色の燐光(りんこう)を放ち、途端に箒の動きが止まった
(やった!)
魔法が効いた
ハリーは箒によじ登り、そのまま見つけたスニッチを追った
彼は凄まじい速さであっという間にスニッチに追い付く
相手のシーカーとぶつかり合ってスニッチを手に入れようとする
「ハリー!頑張れー!!」
大声で応援する
届くように
祈るように
すがるように
言葉を発する
ハリーはそのまま飛び続ける
ヴィオラと同じくらいの高さになって、箒の上を立つ
手を伸ばし、スニッチを追う
「頑張れー!」
「行けーハリー!!」
歓声が湧き上がる
皆が彼を応援する
そして
ズシャァア!!
「ハリー!?」
ハリーが前のめりになりすぎてコケてしまった
箒はどこかへ転がり、ハリーはなんだか気持ち悪そうにしている
「どうしちゃったんだよ」
「気持ち悪そうだぞ」
ロンとハグリッドの声が聞こえる
(あー、スニッチが……)
「ハ、ハリー、吐き出して」
「っ……うぇ」
ハリーに近付き、スニッチを吐き出すよう促す
彼は苦しそうな目でヴィオラを見つめ、言う通りに手に吐いた
キュインキュイン
「スニッチだ!」
大きな声でそう叫ぶ
ヴィオラのその声によって全員が気付き、リーがナレーションをする
「ハリー・ポッターがスニッチをキャッチ!グリフィンドール150点獲得!!」
「ピー!!グリフィンドールの勝利!!」
ワアアアア!!
フーチがそう宣言し、会場が歓喜に湧き上がる
「ハリー!!やったね!!」
「わぁっ!ありがとう、ヴィオラ」
咄嗟にハリーに抱きついてしまう
ハリーは驚きの声を上げるも、突き放す事はしなかった
ヴィオラはそのまま「キャッキャッ」と喜びに溢れている
しばらく抱きついた後、やっと離れ、「おめでとう」と笑顔でハリーを祝福した
ハリーも嬉しそうに笑う
そのまま、グリフィンドールとスリザリンの選手がゆったりと降りてくる
地面に着地し、ハリーの方へと全員が寄ってくる
「やったなハリー!!」
「良くやったぞ!!」