第10章 活躍と不穏のクィディッチ
(日本で言ったら少しだけブラック企業なのかな?)
麗乃の時の用語を思い出す
失礼だろうが、ヴィオラは少なくともそう思っていた
本来ならスリザリンもマネージャーを任命するべきなのだが、時間がなかったのと、スネイプが「いらない」と言ったせいで全て一任されてしまった
いわゆるパワハラ上司だ
「ぷっ」
その姿が簡単に想像出来てあまりにも似合っていたため、思わず吹き出してしまった
(いけないいけない、今は試合に集中しないとっ)
箒を手に取り、浮遊する
ふわり
(えーと…確か選手達の邪魔しないように低く飛んでって言われてたっけ?)
飛行学教師フーチに言われたとおり、できるだけ低く飛ぶ
選手達の妨害をしてはいけないとして、マネージャーはテープのはられた位置と高さまでしか飛べない事になっているのだ
(とは言っても、服が違ってすぐにバレるんだから大丈夫だと思うけどなぁ〜)
ヴィオラは箒に乗ったまま、視線を自分の服に落とす
彼女は今Tシャツにジーパンという姿である
Tシャツはグリフィンドールのクディッチチームの物だ
肌に密着するジーンズを履き、Tシャツの下には薄いインナーを着ている
冬なのでとても寒いが、ローブは汚してはいけないと言われているし、厚手のコートか何かを着ようにも、公式試合で私服を着てくるなと決められていた
「お!始まる!」
グダグダと考えていると、フーチがグラウンドにクァッフルをもって出て来る
クァッフルを的に入れれば点が入るのだ
アナウンスのリーが会場を盛り上げる
「さあ皆さん!今シーズン最初のクディッチの試合です!
今日の試合はスリザリン対グリフィンドール!
選手がポジションにつきました、試合開始のため、フーチ先生がフィールドに入ります!」
相変わらずの陽気なアナウンスだ
生徒にしてはナレーションがとても板についており、それがヴィオラは結構好きだった
フーチがフィールドに入り、クァッフルを手に持つ
「正々堂々と戦ってください、期待してますよ」
クァッフルが空に上がった
その瞬間、笛がなり、試合は始まる