第10章 活躍と不穏のクィディッチ
ハリーはその方向を見る
その先には、テーブルで食事をしている教師陣の姿が
そしてその中には、ハリーを見て優しく笑うマクゴナガルの姿が
「っ…………」
「ふふ、良かったね、ハリー」
マクゴナガルは手元にあるグラスを手に取り、乾杯と言うように掲げた
ハリーはそれに、輝くような笑顔で返した
(やっぱりマクゴナガル先生はいい人だよ!)
今日のハリーの初試合の応援のために、彼女はこの高価なニンバス2000をわざわざ自分で買い、ハリーに送った
マクゴナガルなりの励ましなのだ
「全力を出しなさい」と
「私も応援してますよ」と
こんな事をする人はなかなかいない
やはりマクゴナガルは情に厚く優しい人なのだ
さあ、クディッチが始まる
「マリエレンダ!こっちにブラッジャーを箱ごと持ってきて下さい!」
「はーい!」
マクゴナガルに言われ、箱を持ってグラウンドに向かう
(忙しい!クディッチの前ってこんなにガヤガヤしてたのね)
いよいよ試合が始まる
ヴィオラはマネージャー兼シーカー&ビーター代理なので、一応はチームの中にいなければならない
(ほんとに、なんでビーターなの……)
しつこいようだが、彼女はまだビーター代理に納得していない
シーカーを守るために相手をボコボコにしなければならないのだが、暴力なんて好きじゃない
まあ、任命されてしまった理由はもう分かっているのだが……
「ふう!ここに置いて大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう」
「いえいえ、マネージャーですから」
笑ってそう言うと、マクゴナガルはどこか困ったように笑う
そしてヴィオラに言った
「マリエレンダ、本当にマネージャーで良いのですか?」
「え?」
改めて問われる
マクゴナガルはやはり彼女が試合に出ない事に納得していないようだった
「私は、勝ち負けなんてそこまで気にはしません、ただ楽しくやって欲しいのです」
「…………」
「なので、あなたがマネージャーになりたいという理由が分からないのです、ウッドからはお聞きしましたが……」
(ウッド……やっぱり言っちゃってたか〜)
予想はしていたが、ウッドはマクゴナガルに全て伝えたようだ
だから「邪魔はしないが本人から理由が聞きたい」ということか