第1章 小学生時代 ー三年生ー
その後は冷えきった体で家に帰った。
母さんにこっぴどく叱られたが、俺は相変わらず上の空だった。
翌日以降、俺の“個性”をヴィラン向きと認識する奴は増えていった。
みょうじさんと涼はわだかまりなく楽しそうにお喋りしていたから、きっと誤解を受けずに済んだんだろう。
良かったと思う半面、寂しいと思う気持ちもあった。
相変わらず給食の時にはうまく話を振ってくれるし、いつも通り接してくれる。
それでもバレンタインからの数日間で少し近づいた距離よりは遠い気がして、そんなことに落ち込む自分をどうしようもなかった。
気が変になりそうなほどの嫉妬、それを和らげてくれる笑顔。
みょうじさんのことを目で追う日々は続き、いつしか三年の三学期、終業式の日を迎えていた。
願わくは、来年も同じクラスになれますように。