第6章 夢の後の後。
「おまたせ~。」
…じゃねえよ。
翔太が俺しかいない部屋に戻ってきた。
部屋を見回し、凛の荷物が
無い事を確認し、
「あれ?凛ちゃんは?」
「帰った。」
「お前…帰したな?」
「悪いか」
分かってんなら聞くな…。
でも、ここまできたら
のらりくらりしてる場合じゃない。
一気に隙を突いて、かっさらっていく気やろ。
似てるから分かんだよ。
「浩二にしちゃ、めずらしく分かりやっす~く
態度に出てたやん。不機嫌さが。」
「…凛、ええ子やろ。」
俺の言葉に、翔太も真剣な顔つきに変わる。
「もう、本題に入っちゃうんや。
余裕ないんかい。」
「大切にしたいだけや。」
「ふ~ん。俺も好きになりそうやわ。
ちょっかい出すくらい、ええやんなぁ。」
「…ちょっかいって、何やるつもりやねん。」
…こんな会話も今回が初めてでもない。
…いや…過去にちょっかい出したのは
…俺やったかも…。