第5章 夢の後。
案の定、翔太は一緒に帰るとか言い出す始末。
荷物を取りに出て行った。
そのまま帰ってこんでええのに。
…邪魔やし…。
『母の愛』とか、のんきな事を
言っている危機感ゼロのこの女…。
本気で『母の愛』とか
思ってんやろなぁ。
「アホやな、凛。男は皆、マザコンやで。」
理想の嫁さん像って、挙げてみた結果、
自分の母親みたいやった…なんて、
よくある話やったりすんねんで…。
理想がおかんなんて、
息子は絶対、認めたくないけどな。
とりあえず帰したけど、
今日はそれでええわ。
これ以上、翔太と一緒におらんでええねん。
「やっぱ、アイツはあかんかったな。
好きになる女のタイプまで似てんよなぁ…。」
凛のあたふたしてる姿を
面白がって見てる時間は…もう終わりやな。
一人になった部室で、思わず俺はつぶやいていた。