第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ
『そ、そうなんです・・リヴァイ先生・・・モテるんです』
リリアは預かったカルテを抱きしめる。
実際務めていた看護士が辞める時に告白をしたり、患者さんからリヴァイ先生に渡して欲しいと個人的な連絡先を書いたメモを渡されたりしたこともある。
それらを渡しても読まずにいつも捨てられ、申し訳ない気持ちと共に安堵していた。
口が悪い時もあるが、海外での実習勤務暦もあり日本に戻っても有名人のペットが来るような病院からスカウトも来ていた。
そんな腕が立つリヴァイが少し田舎の町でひっそりと開院している方が不思議なくらいだ。
『リリアちゃんなんか・・・ごめん。私がとやかく言うことじゃなかったね。モヤモヤが溜まった時は私に相談してね』
『アンカさん、ありがとうございます』
『リリア、ラインベルガーさんと話込んでたのか?』
『あ・・・すみません、仕事中なのに・・・』
『いや、患者と親睦を深めるのは悪くねぇ。ただ・・・相手を選べ』
『え、えっと・・・』
相手を選べと言われても、何をどう選べばいいのか困惑しているとリヴァイに頭をガシッと掴まれ顔を近づけられる。
『男に決まってるだろ。動物相手が主とはいえ話をするのは動物だけじゃねぇ、飼い主とも話さないとならねぇからな』
『せ、先生?!』
手を離された頭を触ると沸騰しているかのように熱い。綺麗な端正な顔を近づけられ動悸が起きそう。
アイスグレーの瞳に自分の姿が見えた時、ずっとリヴァイの瞳には自分を見ていて欲しいとも思った。
『・・・リリア、リリア、聞いてるのか?』
『あ、え?はい?』
『マヌケなツラしてんじゃねぇ。もう12時だぞ、午前診終了だ。入院している患者の状態チェックしたら昼飯だ』
リヴァイは入院室へ先に向かい、リリアはしっかりしなくちゃ!と頬を叩きカルテを持って急いで向かった。