第4章 サンタになった黒猫/リヴァイ(2020,BDss)
髪に乗った雪を手で無造作に落とす。
この様子だと夜には更に積もるだろう。
幸いなことに真っ白の雪に黒い猫は目立つ。見失わないようにリヴァイはサンタを追いかけた。
「チッ、温もった体がパァじゃねぇか。今夜はサンタを風呂に入れて、湯たんぽ代わりに一緒に寝てやる」
木々の間をどんどん進んで行くと、大きな道に出る。馬車が通る道のため、雪かきがされていて久しぶりの土が目に映った。
「サンタ……?と、リヴァイ兵長?」
にゃぁ!とサンタの声と雪に混じる声。
「……リリアか?」
雪のような真っ白のロングコートに深緑の傘をさしたリリアが驚きの顔でリヴァイを見ていた。
サンタは久しぶりのリリアの姿に精一杯駆け出し擦り寄る。
「リヴァイ兵長お久しぶりです。兵長、何故このような場所に?」
「サンタがこの雪の中で何処か行こうとしていたから慌てて付いてきた。帰ったらこいつを風呂に入れて湯たんぽにしてやるつもりだ」
「お風呂?湯たんぽ?ふふっ、随分と可愛がってくださってるのですね。サンタ、兵長に迷惑かけちゃダメよ?」
猫の顎の下を撫でると嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「リリア、こんなクソ寒い中何してんだ?兵舎に忘れ物があるなら後日持って行く」
「忘れ物じゃありませんよ?リヴァイ兵長、メリークリスマス!そして、お誕生日おめでとうございます!」
差し出されたバスケットの中は綺麗にラッピングされたジンジャークッキーや、紅茶のスコーン、メッセージカードが入っていた。