第2章 I will always love you/エルヴィン
『ちょ!ちょっと!!!黙って聞いてたら、好きなことばっかり言わないで!』
『あっ、こら!!』
リリアは横から顔だけ出して声を上げる。
女は見つけたと言わんばかりに、ニタァと怪しく笑い出す。
『こいつヤバいって・・・エルヴィン・・・、に、逃げよ?』
リリアを連れて逃げるのは簡単だ。
だが、狂気じみた女を放って置いてもいいものか。
この矛先を近くの通行人に向けさせるわけにもいかない。無差別に人を襲う可能性がある。
リリアを守れてもそれでは意味が無い。
『・・・リリア、私が引き付けている間に逃げるんだ。そして、すぐハンジに連絡しなさい。』
『や、やだよ・・・危ないって・・・エルヴィンも一緒に・・・』
『刃物持っているとはいえ、私は男だよ?』
ほらっ・・・と、背中にいるリリアを笑顔で見下ろす。華奢な体はプルプルと震え、首を横に振っているが俺がいつまでも笑顔で諭していると、暫くして首をゆっくりと縦に動かした。
リリアはそっと横にズレて、女の視線がエルヴィンに向いた瞬間に走り出す。
『はぁ!?逃がすわけないじゃん!!』
『や、やめっ・・・!!』
ザクッ・・・・・・
ドスッ・・・・・・
『リリア・・・大丈夫だったか?』
『エルヴィン!!!やだぁぁぁぁあ!!』
リリアを庇った体には包丁が刺さる。
腕から生暖かい鮮血が流れ出す。
女は近づいてきたおかげで、手刀で気絶させることが出来た。
あぁ・・・遠くでリリアが泣いている。
涙を拭ってやれなくてすまない。
君は泣いていても綺麗だ。
もし、目を覚ますことが出来たら・・・次は・・・