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―夢の籠―(進撃短編集)

第2章 I will always love you/エルヴィン


次の日。

仕事が休みになったから予定を入れたと言うリリアからの連絡があり、車の中でリリアが来るのを待つ。

昨日帰り際に思わず髪を触ってしまい、我ながらやってしまったと少し後悔した。年の離れた男に触られて嫌がられたかもしれない。年甲斐もなく、リリアが来るまでそんな事を考えていた。

『来たか・・・』

サイドミラーでリリアがエントランスから出てくるのが見え、車から下りてリリアを待つ。


『エルヴィーーン!!』


少しタイトなスカートをはいているせいか、小走りで可愛らしい。昨日のことを考えていたのは自分だけだったようだな・・・と苦笑いしながら片手を上げてリリアに合図をする。


『今日ねーー!!行きたいところがっ!!』


『リリア!!』


高音と低音が混ざったクラクションが響く。









『リリア・・・リリア、大丈夫か?』

胸の辺りで収まっているリリアに問いかけると、大丈夫とぎこちない笑顔を見せる。
思わず引っ張り寄せた手は繋がれたままだ。

『エルヴィン、ありがとう。全然車見えてなかった・・・』
『いや、怪我をしていないならいいんだ。私がいて目の前で怪我でもされたら大変だからね』

少しギュっと抱きしめてからリリアの体を離す。

まさか、さっきの車は事故を装った手紙の送り主だろうか。

嫌な予感がして、リリアには出来るだけ付きっきりでいようと気を引き締め、ネクタイをキュッと上にあげた。



*****




『帽子とサングラスって・・・芸能人って感じだな。リリアと話をしていたら芸能人って言うことを忘れるよ』
『えー、心外!一応街に出る時はつば広帽とサングラスは必須でしょ!お忍びのお出掛けなんだからっ!』

えへっ!と腕に抱きつくリリア。
堅苦しい仕事ではあるが、仕事を忘れそうになるぐらいリリアのウィンドーショッピングに付き合った。





『次はエルヴィンここに入ろ!新作のアクセが気になってたのよねー!』
『あぁ、引っ張らなくてもリリアが行きたいところに付いていくよ』

高級ジュエリー店のショーウィンドウに張り付くリリア。ビロード生地の上にガラスのケースが置かれ華やかに位置づく。

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