第2章 I will always love you/エルヴィン
『リリア、その飲み物はクリームがあってこそのじゃないのか?』
『えー・・・エルヴィン、若い子が皆甘ったるいものが好きなわけじゃないよ?あんな生クリームたっぷりに、甘いソースに・・・考えただけで胸焼けする。だからいつもクリームは無しでオーダーするの!』
『そういうもんか?ドリンクは甘いだろ?』
『それはいいの。このぐらいが丁度いいんです』
リリアは新作の何とかチーノを太いストローで吸い込む。甘いものがそこまで好きじゃないなら、普通にのカフェラテにすればいいのにそれでもそのドリンクが飲みたい・・・若い子のことはよく分からん。
そう思いながら、俺はホットのブレンドコーヒーを口にした。
『甘すぎない・・・リリアみたいだな』
『え?いきなり何なの?』
『あ・・・いや。テレビだと可愛くてふわふわした感じなのに実際はサバサバしてるし、甘いものもそんなに好きではないときてる。世間のイメージとは違うなと思っただけだよ』
『そういうことね・・・。そんなの会社が作り出したイメージに決まってるじゃない。まぁ、芸能人なんてそんなもんでしょ?実際、先輩でも煙草ガンガン吸う人もいるし、遊び回ってる人もいるし。今回の件だってそう・・・ほんとはね、ガツン!と世間に言ってやりたいのよ!こっちは仕事なんだから仕方ないでしょ!!って』
ドリンクカップを持っていない方の手で真っ直ぐ拳を突き出す。当たらないけど、何かが当たってスッキリしたのかリリアは声を出して笑い出す。
そんなリリアを見た俺も吊られて笑うと、リリアは何故俺も笑っているのか意味分かんないとまた笑う。
暫く車内は笑い声で賑やかだった。
ボディガードなんて仕事はやり甲斐はあるが、命が掛かっていて楽しいと思ったことは無い。
リリアといるのは仕事だが、素直に楽しいと思う。