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―夢の籠―(進撃短編集)

第2章 I will always love you/エルヴィン


愛想は良くないが、悪い子ではないようだ。

ハンジは態度があまり良くないリリアを見て、ごめんね〜と片手でウインクしながら謝る。

正直、ハンジの頼みじゃなければ引き受けない案件だ。

なにせリリアは”売れている”というより”売れてきている”タレントだ。
会社が最も世に送り出したいタレントであり、色々な仕事をさせているのが分かる。


『あぁー!!むっかつく!!ガチャ爆死した!!クソゲー!!』


スマホのゲームにイラついているようで、眉間に皺を寄せて画面を強くタップをしていてネイルが当たり、カツカツ!と音を立てている。

根はどうやらこんな感じらしく、お洒落なトーク番組やバラエティでは素が出せないストレスがたまっているようだ。

人の事は言えないがハンジも中々の仕事人間の為、リリアにストレスを与えているのは分かっていると言っていた。

控えめで大人しい雰囲気で美人だが、ありのままのリリアでも若い世代にも受けそうだと思うが・・・。



『リリア~、ゲームばっかりしてるけど・・・大丈夫なの?何かあったら心配だからエルヴィンに来てもらったんだよ?』
『んー・・・どうなんでしょ。ただの嫌がらせの一部じゃないの??』
『リリアさん、大丈夫です。私がお傍にいますから』
『・・・リリアでいいよ。私もエルヴィンって呼ぶから』
『そうか?なら、リリアと呼ばせてもらおう』


あっけらかんとしていて、肝が据わっている。

今回俺がリリアのボディガードをすることになったのは、リリアに殺害予告が届いたからだ。

映画のヒロインに抜擢され、主演の人気絶頂の若手俳優エレン・イェーガーの相手役になりキスシーンや濡れ場があった。
当の本人たちはもちろん演技であり、仕事でのシーンなわけだが、人気俳優の濡れ場の女という当たりのようで貧乏クジを引いてしまったわけだ。


『ねぇー、今日も報道の人がいるのよね?もぅ、そろそろ帰りたい・・・。警察はどうなってるのよ!!』
『今どきアナログに手紙で送ってきてるからな。メールやSNSならすぐに特定出来るが・・・もう暫くかかるだろう』
『嫌になるー!!エレンさんにも迷惑かかるじゃん!』



やはり、悪い子ではないな。




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