第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ
リリアは消毒液の入った水にモップを付けて院内を完璧に消毒清掃する。待合のソファ、カウンター、来院した動物達のトイレ、入口のドアの取っ手までも。
リリアが勤めだした頃はリヴァイによく注意され、何度も清掃をやり直した。
動物看護士はあまり高給とはいえない中、アッカーマン・ホスピタルは割と給料も良く、急な休みも取りやすい。その上、リヴァイのルックス・・・毎年のように動物看護学校の卒業生や中途採用で面接に来るが、採用後に甘い妄想を膨らませて勤務するが最初の厳しい清掃指導に根を上げて、退職するものが後を絶たない。
そんな中、リリアは根を上げずに根性を出して勤めてこの春で3年目になった。
『リリアが来てもう3年目か・・・』
『私も立派な動物看護士ですね!また新しい看護士さん迎えますか?』
『俺はリリアがいればそれでいい。おい、ドライケムやら遠心分離機の電源入れたのか?アル綿も補助しておけ、もうすぐ診察が始まるぞ』
リリアはしまった!とモップと消毒液の入ったバケツを持って小走りで検査室へ向かった。
──私がいれば・・・だなんて、リヴァイ先生っ!勘違いしちゃいます!!
バチャン!!
『ギャァ!・・・・・・やっちゃった』
慌てて水を棄てようとして滑らしバケツの水が床に飛び散る。
3年目。まだまだ修行だなぁとリリアは急いで拭き、腕時計の時間を確認すると更に急いだ。
まもなく9時。
アッカーマン・アニマルホスピタルの診察が始まる。