第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ
カチカチとリリアが打ち込んでいる姿をジャンはチラチラと見ている。リヴァイは少し離れたところからその様子を確認すると、リリアの傍へ再び寄った。
『リリア、マルコくんにパピー用フードのサンプルをいくつか用意してくれ。ガキ・・・じゃなくて、キルシュタインさんは初めて犬を買うだろうから、今後のフードの参考にしてもらえ』
『・・・?かしこまりました。サンプルフードは二階の物置でしたよね?鍵お借りします』
リヴァイは自室の向かいにある部屋の鍵をリリアに渡す。リリアは一言ジャンに伝えると2階へ向かった。
『さて・・・・・・ジャン・キルシュタインくん・・・少し話がある』
『はい?何っすか?』
受付カウンターに両腕を置き、待ち合いにいるジャンに声をかけた。
『ペピー用のサンプルってどこだったかなぁ・・・』
物置の鍵を開け、電気をつけると整理整頓はされているが物は多い。業者からのサンプル品だったり、資料だったり色々ある。リリアはサンプル品が入っているダンボールからペピー用のフードのサンプルをいくつかビニール袋に入れた。
『マルコくんが喜ぶものがあるといいんだけど』
リリアは鍵を締めて1階へ戻ると、待ち合いにいるジャンの様子がおかしい。少し怯えたようなそんな感じ。
『ジャンさん?大丈夫ですか?』
『は、はい!!あ、お会計っすね!!フードまでありがとうございます!次はフィラリアで来るっす!!じゃっ!!』
『は、はい・・・!お、お大事に!』
ジャンはマルコを抱え逃げるように病院から去って行った。リリアは来院したときとは違うジャンにポカンとなり、リヴァイの方を見ると立って紅茶を飲みながら新聞を読んでいた。リリアの視線を感じるとリヴァイは一言。
『クソでもしたくなったんだろ』
『そ、そうなんですかね・・・』
『目障りな虫は駆逐しねぇとな』
『・・・・・・え?』
『何でもねぇ。ほら、リリアの分の紅茶を入れてやったから飲め』
『わぁ!いい香り!リヴァイ先生ありがとうございます!』
『マルコー・・・リヴァイ先生って怖ぇぇな・・・』
ジャンはマルコをぎゅっと抱きしめながらリヴァイの言われた事を思い出していた。