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―夢の籠―(進撃短編集)

第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ


『ナイルさん・・・帰ってしまいます』
『・・・とっくに帰っている』
『・・・・・・・・・』


暫しの沈黙。

学校を卒業してすぐに就職して、慣れない環境、社会の厳しさ、あらゆる命の尊さを目の当たりにし精神的に疲れることもあったはず。それなのに弱音を吐くことも無く、笑顔で患者と接し、勤務時間外でも進んで仕事をすることもある。
リリアがいてくれたから来てくれる患者もいる。
アッカーマン・アニマルホスピタルにリリアは存在不可。
そして、リヴァイにとっても・・・。


『・・・・・・リヴァイ先生、う、腕・・・』

そして、男に慣れていない顔。
腕を握られただけで火傷するように顔を赤くする。手を払うことも出来ず流されやすい。
力づくで押さえ込まれ押し倒されでもしたらリリアは流されてしまうかもしれない。



忙しい毎日にきっと恋人も・・・


『・・・いや、いないとは決まってないか・・・』
『な、何がいないのです?』


リヴァイは少し賭けてみる。


『リリア、今夜の予定は?』
『え、仕事終わったら帰るだけですよ?』
『・・・だろうな』
『な、何なんですか・・・。同僚もいないんですから真っ直ぐ帰りますよ。って何か私変なこと言いました?』
『いや、何でもねぇよ』

リヴァイは口元を袖で押さえながらそっぽを向く。



『リリア、今夜開けとけ。上司からの命令だ』



いまだに掴まれている腕が熱い。
それってパワハラ・・・とリリアは思うが、それ以上にこの3年間で2人で夜に出掛けるのは初めてで、リリアは顔が赤いのが止まらない。

『お前、顔真っ赤になり過ぎ。男慣れし無さすぎだろ』
『そ、そんなことないですよ!少しくらい・・・男慣れしてますっ』


『・・・・・・・・・あぁ?』


思わず掴んでいた腕の力が緩み、リリアの腕はリリアのものに戻る。

『もう・・・リヴァイ先生どうしたんです?』
『何でもねぇ・・・』


てっきり男とは無縁だと思っていたリリアからのまさかの男慣れしてる発言にリヴァイは力が抜ける。

リリアは頭に疑問符を付けながら会釈して受付へ戻った。
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