第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ
午後の診察が始まる。
リヴァイは空いている第二診察室の診察台の上でパソコンを開いて事務作業をしている。
受付からはリヴァイの姿は見えないがリリアは何となく気まずい。
『よう、リリアさん』
『ナイルさん!こんにちは!お薬のお届けお疲れ様です』
『いやいや、俺の仕事だからね。たくさんあるからな、納品書で確認してみてくれ』
『わかりました。少しお待ちくださいね』
ケンペイ薬品会社に務めるナイル。ナイルは部長なのにアッカーマン・アニマルホスピタルに薬を納品してくれている。
前にヒッチという女性が届けていたがリヴァイの薬学知識についていけず、あの病院めんどくさーい!となり適当な理由を付けて担当を代わってもらった。そして代わったのが同期のマルロ。マルロは真面目が故、納品の度に新薬を何度も勧め、受付のリリアを困らせ続け、終いにはリヴァイが担当変えろと電話をすることになった。
担当を2回も代えることになり申し訳ない・・・とナイルが届けてくれるようになったのだ。
『リリアさん、リヴァイ先生いる?この薬、価格の変更と共に少し成分が変わるんだよ。リヴァイ先生にも伝えておきたくてね』
『リヴァイ先生、ちょっと作業してまして・・・私でよければ内容お伝えしましょうか?』
『ありがとう。でも、薬のことだから俺から直接言うよ。悪いけど呼んできてくれるか?悪いな』
リリアは、いえ・・・と複雑な思いで第2診察室にリヴァイを呼びに行く。
コンコン・・・
『リヴァイ先生、失礼します。ケンペイ薬品のナイルさんがお薬のことでお話があるそうです』
『・・・・・・・・・』
『先生・・・?』
リヴァイはパソコンに無心で何かを打ち込んでいる。リリアは珍しいなぁと思いながらリヴァイの肩に触れると、バッ!!と顔を向けブルーライトカットメガネ越しにリヴァイと目が合う。
端正な顔にメガネというパワーフェイスにドキッとしながらナイルからの用件を伝えた。
『わかった。リリア、気が付かなくて悪かったな』
リヴァイはパソコンを半開きに閉じるとリリアの頭を撫でて受付へ向かった。
『私がいなくなったら、他の誰かにも頭を撫でるのかな・・・やだなぁ・・・』
リリアは撫でられた頭に自分の手を乗せた。