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―夢の籠―(進撃短編集)

第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ


リヴァイは出来上がったオムライスをトレーに置き、冷蔵庫からアイスティーをグラス二つ分注ぐとテーブルに運ぶ。グラス1個をリリアの前に置き、ぺこっとリリアは頭を下げた。

『さて、どういう状況でそんな話になっているのか聞かせてもらおうか』

脚を組んで、腕を組む。
どこから話せばいいのか困っているリリアを見兼ねて、ハンジが代わりに代弁する。








『ほぅ・・・それで、ここの病院を辞めると?』
『や、辞めるつもりはないんです。勉強して、もっと成長して帰ってきたくて・・・』
『向上心があるのはいいことだ。だが、その間この病院はどうなる?看護士不在じゃ、話にならねぇ。俺はすぐに他のやつを雇うぞ。そうなれば、リリア・・・お前はここじゃ必要なくなる・・・他の病院で就職すればいい』
『や・・・でも・・・、看護士さん1人じゃ・・・』
『実際、お前1人でもやっていけるようになっていた。看護士も結局は質ってことだ。無駄に増やす必要はねぇ・・・』

そんな・・・とリリアは暗い顔をする。
ここでリヴァイ先生のために・・・といえば、リヴァイはリリアに対して怒るだろう。勉強や経験は他人の為ではなく自分の為にしろ・・・と。
泣きそうにリリアはなるが、泣くのは筋違いだから我慢をする。

『リヴァイは厳しいなぁ・・・』
『ハンジ、てめぇも勝手にリリアとそんな話をすんじゃねぇ。あの病院は確かに設備も医療機器も充実しているが、研修に入るなら2~3年は過ごすことになる。リリア・・・行きたいなら俺は止めねぇ。よく考えることだな』

リリアは自分がいなくなると、リヴァイはきっとすぐに新しい看護士を探す。私情云々よりも仕事が大事だから。小さな命を救う為・・・、それにリヴァイは心臓を捧げている。

好きな人と一緒に動物たちの命を守り、そしてこうやってお昼を一緒に過ごし他愛のない話をする幸せ。

学び、知識を増やし、看護士として腕を磨き、獣医の役に立つ幸せ。
どちらかを・・・何かを捨てないと、リスクを背負わずに手に入れることは難しい。


『午後診がもうすぐ始まる。ハンジは食べたら帰れよ、モブリットが待ってるだろ』
『そうさせてもらうよ。リリア、行く気になったらいつでも連絡して』
『ハンジさん・・・ありがとうございます』
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