第1章 アッカーマン・アニマルホスピタル/リヴァイ
『リリアからその話が聞けるなんて思ってもみなかったよ!』
『ハンジさん、アフリカにいてメールの返信が遅いから忘れられてるかと思いました』
『やぁ~それについては悪かったよ、あはは!それで・・・その話はリヴァイにはしたのかい?』
『んー、実はまだなんです・・・。なんとなく言いづらくて・・・』
『だよねぇ・・・ここの動物看護士はリリアしかいないしなぁ。リリアがいなくなったらアッカーマン・アニマルホスピタル終わりだもんね』
流石にそれはないですよ・・・とリリアは笑う。
ハンジが研究で海外に行く前にリリアは相談したことがあった。それはもっと看護の勉強をしたいから海外の動物病院で実習したいと。リヴァイが働いていた場所と同じところに行ってみたいと思ったのだ。
ハンジの知り合いの獣医がそこにいると聞いてから興味が沸いた。
獣医にはなれないけど、もっと医学的にもリヴァイと意見を言い合えるようになりたかった。
引っかかるのはリヴァイと離れることになること。勉強と寂しさの天秤で揺れる。だが、最近では本気で勉強もしたくなっていた。
『ここの病院のこと、リヴァイ先生のことを考えたらもっと私は学ばないといけないことがあると思うんです。自分の成長の為なら行ってこいって言いそうですよね』
そうでもない気がするけどなぁとハンジは思いながら、冷蔵庫を勝手に開けて冷やされた紅茶を飲む。
ごくごくと喉を鳴らしながら一気に飲んだ。
『おい、ハンジ・・・リリアならともかく他人の家の冷蔵庫を勝手に開けんじゃねぇ。そして、リリア・・・詳しく聞かせろ』
『あ、リヴァイ帰ってたの?早かったね』
『チャリで飛ばした・・・』
少し息を切らしながら靴を脱ぎ、冷蔵庫の前にいるハンジを退かし買ってきた卵をしまい、そこから2個だけ卵を取り出した。ハンジの分だ。
『おかえりなさい、リヴァイ先生・・・あの・・・』
『リリア、ちょっと待て。クソメガネのオムライス作ってから聞く』
こんなタイミングじゃなかったのになぁと、フライパンで卵を焼いているリヴァイの後ろ姿を見ながら思う。