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四月十日之空

第1章    



佐助が米の花を焦がしている間に、安土では看過できない問題が燻っていた。


「目障りな猿が増えたな、政宗」

「さる?」

「…信長さま………ッ!」

「うるさい。貴様の事ではない」


己のことかと背筋が凍る思いをした秀吉を放っておいて、秀吉をチラリと見やった政宗に視線を移す。

感情は読めない。


「山の猿どもが我が領土を這いずり回っておるのは知っている。領民に化けて降りてきていることもな」

「………………」

「政宗。貴様その猿に餌を与えているな」

「何のことだか」

「惚(とぼ)けるか」

「獣と戯れる趣味はないもんで」

「ふっ、獣か。よかろう、ならば」


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