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空白の記憶

第2章 Story-0 empty


夜が来て、暗くなったその場所に、重たく言葉が響く。
僕は、その源を探した。
公園の入り口、そこに彼女は居た。
桃色の髪が風に靡く。一本一本が月明かりに照らされ、輝いていた。
白い肌、顔の上に赤い輝き…。

「いつきだよね、君…。」

さっきより軽やかな声が耳まで届いた。
赤い輝きから透明な輝きが溢れ、首へと流れる。
白い心が一瞬真っ赤に染め上がり、僕はビクッと全身を揺らせた。

「いつき!」

そうしている間に彼女は、僕の胸に飛び込んでくる。
それを身体は知っていた様に受け止めた。
全く、僕が蹌踉けることは無かった。

「戻ってきたのね、本当に良かった…!」

僕の服に顔を押し付け泣く彼女に、僕は確かな見覚えが無かった。
僕は僕の心にたった今浮かんだ、
残酷なくらい赤い字を、そのまま口に出す。

「…アンタ、誰?」
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