第3章 錯覚
「テスト勉強の方はどうだ?」
昼休み時間机に顔を伏せて目を閉じていた私に、炭治郎くんが声をかけた。
『テスト勉強……、私、全然してないよ』
テストまで1週間を切っているのに全然勉強をしていない。
宇髄先生とあの事があった日から、放課後美術室に寄らないでそのまま帰っている。
テストが近付いているから、勉強したい。とか考えていたけどやってない。
やろうとしても多分思い出してしまって集中出来ない。
「分からないところ教えようか?」
『……うん』
炭治郎くんの言葉に頷いて、顔をあげた。
「何の教科が苦手なんだ?」
『うーん、数学かな…』
今回の数学のテスト範囲が広い。
テスト範囲は広いし、内容も難しい。
絶対勉強しないと点数は取れない。
『嫌だなー、テスト。なんであるんだろう』
そういうと、炭治郎くんは苦笑いした。
「けど、公式覚えれば簡単だぞ」
先生やみんなそう言うけど、覚えられない。