第2章 補習
私は2人きりが嫌で外に出た。
どこに行くかは考えていない。
でも家にいるよりマシ。
はあ....と大きなため息をつく。
何もしていないけど、『疲れた、疲れたな』と私は一人ぼやついて歩く。
ふらふらと歩いていった。
辺りが暗くなってきて、それからだいたい30分くらいすると、私は家に帰る事にした。
この時間に帰ればお母さんはもう家にいるよね。
帰ってきていて、と私は心の中で願う。
でも私の願いなんか叶わず、お母さんはまだ帰ってきていなかった。
また大きなため息が出そうになった。
家の中に入ると、怖い顔をした孝史兄ちゃんが向かってきた。
すると、バシッと乾いた音が玄関に響いた。
ジンジンと頬が痛い。
─叩かれた?
理解するのに時間がかかった。
叩かれた頬を抑えて孝史兄ちゃんの顔を見る。
孝史兄ちゃんの冷たい視線が、胸に刺さる。
「どこ行ってたんだ!勉強もしないで遊んでばっかりいて....それだから成績が良くならないだぞ」
殴られたり叩かれたりすることはよくあった。
けど罵声の言葉の方が、傷付き胸に突き刺さってくる。
目を逸らしたかった。
けど逸らせなかった。
「だからお前も勉強を──」
孝史兄ちゃんの言葉を聞かずに私は部屋に逃げた。