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【YP】ある日の彼ら

第3章 総北逆チョコ戦争〜序章〜(今泉・鳴子・巻島)




「鳴子、お前ロッカー少しは片付けろよ。」


ある日の総北高校自転車競技部の部室にて。
部員である鳴子章吉のロッカーの中身があまりにも乱雑に詰め込まれているのを見かね、同じく部員の今泉が声をかけた。


只今部活後の部室にはこの二人きり。
普段から言い合いばかりしている折り合いの悪い二人は、今泉のこの一言で早くも険悪なムードに陥ってしまった。


読んでいた雑誌を放り出し、鳴子がため息をついて立ち上がる。


「あーうっさ。ほんまスカシはうっさいのう。嫌味な姑みたいやな。あら、ここにもホコリが…言うやつ」


「俺は当然のことを言っているまでだ。ここはお前の部屋じゃないんだぞ。」


「へえへえ。しかしホンマなんでこんなやつがモテんねん。ちーっと顔がええからって納得いかへんわ。実際付き合うたら皆青ざめて後悔するっちゅー話やで。」


「…何か言ったか?」


「ああ言うたで、スカシと付き合う女子は不幸やなあて!」


「お前と付き合う女子の方が不幸だろう。お前みたいなだらしない男…」


「はあー?!この純粋一途な鳴子章吉捕まえて一体何言うねん?!一度決めた相手からはブレへんでワイは!ちゃん一筋やで!!」


「別に女にだらしないとは言ってないだろう。というか、なんでそこでの話が出てくるんだ!」


「スカシ泉くんは素直になれへんもんなー?ホンマは今度のバレンタイン、ちゃんが誰にチョコやるんか気になって仕方ないくせに」


鳴子は先程放り出した雑誌の広告ページにでかでかと写るチョコの写真を一瞥して言う。


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