第3章 総北逆チョコ戦争〜序章〜(今泉・鳴子・巻島)
「逆チョコって、なんだ……?」
もう今泉以外は部員全員帰ったので、そのドアは今日は再び開くことはないはずだった。
しかし、カチャリという音ともにドアが再び開く気配があった。
鳴子が戻ってきたのかと思い、今泉は思わず身構える。
しかし実際入ってきた人物は鳴子ではなかった。
「巻島さん…!帰ったんじゃなかったんですか?」
「ちょっとな…。忘れ物っショ。」
姿を現したのは巻島だった。
自分のロッカーの前まで行き、中身を探って目当ての物を鞄に移しているようだ。
「………………。」
「?なんかあったのか?今泉」
「え。いや、まあ…………。」
「………言いたくないなら別に無理には聞かねぇよ。じゃあな。」
普段からあまり他人に踏み込むタイプではない巻島は、初めこそ今泉の様子を気にした物の何も聞かずにそのまま去ろうとしている。
一方で今泉は、恥を忍んで聞くなら今しかないと考えていた。
巻島がドアノブに手をかける前に、意を決して口を開く。
「あ、あの巻島さん…」
「ショ?」
「逆チョコって、何だか知ってますか…?」
「………はあ?」