第5章 それぞれの温度
テストも無事終わり、後は結果が返ってくるのを待つのみだ。これが終われば、まずは2日間の東京遠征が待っている。
テスト返しの当日 花菜は戻ってきた答案を見て愕然としていた。
「花菜ーテストどうだった?私英語でニアミスしちゃったー」
「柚…」
「うん?」
「こ、これ」
そう言って花菜はヒラッと1枚の答案用紙を差し出した。
差し出された答案を受け取るなり、柚はえぇ!?と大声をあげる。
「100点じゃないの!現代文!」
「私も、びっくりして腰抜けそうになっちゃった」
「今までもじゅうぶん凄かったけどさぁ… ついに100取ったかー」
花菜の解答用紙をまじまじと見つめ、柚はほぇーと感心した。
苦手な数学も及川のおかげで過去最高を取れた。今回はなかなか順位が期待できそうだ。寝る間も惜しんで頑張った努力が報われた。
テストに対する緊張の糸が一気に緩む。
しかし花菜には、テスト以外にもうひとつ悩ましいことがあるのだ。
「柚、ちょっと相談があるんだけど」
「なになにー?もしかして恋の相談?」
「うん…まぁそんなところ…」
「えぇっ!? まさかほんとに恋の悩みだとは。もちろん、何でも聞くよ!」
珍しい花菜の恋バナにぐんとテンションがあがったようで、柚はぐいぐいと花菜の方へ身を乗り出した。