第10章 幼馴染の肩書き
「もう1本!」
綺麗なトスが上がってすぐボールが床を打つ軽快な音。
これで何本目だろうか。木兎のスパイクは月島のブロックを破り、次々と決まってゆく。
流石全国レベルのスパイカーというべきか、その圧巻の動きに花菜も思わず拍手を送った。
「ッシャー!」
「1枚ブロックに勝っただけっスよ」
「うっせぇな」
「じゃあ2枚でどうだ?」
月島に加えて黒尾が参戦し、木兎の相手は2枚になる。
黒尾の背後でレシーブ練に潰れたリエーフを見つけて花菜は慌ててタオルとドリンクを手渡した。
「あ、あざす…」
半分死にかけているのでは?と思ってしまうほどリエーフはヘトヘトになっている。黒尾のレシーブ練習は相当スパルタらしい。
そんな黒尾が月島と一緒にブロックを跳ぶという。練習試合の時から彼のブロックスキルには目をつけていたが、こんな風に間近で見られる機会はそうそうないだろう。
木兎が飛んで、ボールを打った。
、
次にボールが落ちたのは黒尾と月島の方ではなく木兎側のコートだった。
「うぇーい」
「クッソー!」
「おおっ…」
黒尾のドンピシャブロックに、たまらず花菜は声を漏らす。
木兎の狙いを予測して空中で素早く反応する判断力、敏捷性。これには月島も僅かに驚いた様子だ。
「うーん。やっぱメガネ君さあ、読みはいいんだけどこう…弱々しいんだよなブロックが。腕とかポッキリ折れそうで心配になる。ガッと止めないとガッと!」
木兎の指摘が気に障ったのか、月島は開き直ったような笑みを浮かべた。
「僕まだ若くて発展途上なんですよ。筋力も身長もまだまだこれからなんで」
「ああ?」